
仮想通貨担保ローンとは、いったいどんなサービスのことを言うのでしょうか?今回は「仮想通貨担保ローン」について解説します。
目次
仮想通貨担保ローンとは?

仮想通貨担保ローンとは
を言います。
有担保ローンの一種と言っていいでしょう。
有担保ローンには
- 住宅ローン:マイホームを担保
- アパートローン:賃貸住宅を担保
- 不動産担保ローン:不動産を担保
- 自動車ローン:自動車を担保
- バイクローン:バイクを担保
- 証券担保ローン:有価証券を担保
・・・
と世の中には、お金に変えられる資産価値を持つものを担保にお金を借りるサービスが多くあります。
仮想通貨担保ローンは、担保の対象が換金可能な「仮想通貨」だということだけの違いです。
海外では「仮想通貨担保ローン」の融資額が急増している現状

「仮想通貨担保ローン」の融資額は年々増加傾向にあります。
海外では「仮想通貨担保ローン」のことを「crypto-to-cash lending」と言います。
「仮想通貨担保ローン」で有名な企業は
- Unchained Capital
- Salt Lending
の2社になります。
Unchained Capital

- 金利:年率12.0%~18.0%
- 金利タイプ:固定金利
- 融資可能額:1万ドル(約100万円)~100万ドル(約1億円)
- 掛目:50%
- 借入可能期間:3カ月~60カ月
- 融資スピード:翌営業日
- 審査:信用調査は不要
- 対応可能仮想通貨:Bitcoin(ビットコイン)またはEthereum(イーサリアム)
- 返済方法:毎月の利払いのみ。
- 担保価値が25%低下した場合は、担保または元本支払いを要求
- 担保価値が45%低下した場合、当社は担保を再担保する権利を有し、元本および未払い利息を回収する権利を有します。
Unchained Capitalの「仮想通貨担保ローン」の疑問
いくら借りられるの?
「掛目:50%」ということは、時価1億円分の仮想通貨を担保にした場合、最高5000万円の現金が借りられるということです。
- 担保にする仮想通貨の金額:5000万円 → 借りられる最大額:2500万円
- 担保にする仮想通貨の金額:2000万円 → 借りられる最大額:1000万円
- 担保にする仮想通貨の金額:1000万円 → 借りられる最大額: 500万円
・・・
という計算になります。
返済額はいくらになるのか?
毎月の利払いのみの返済となります。
年率12.63%の場合
100万円の借り入れをすると、毎月1万円の利息をしはらうことになります。
契約の満期になると、元本の100万円を返済する必要があります。
担保にした仮想通貨はどうなるの?
利用者のローン専用のコールドウォレットのアドレスが生成されます。
そこに担保にした仮想通貨は保管することになります。
ローンが完済されれば、ローン専用のコールドウォレットから、利用者のウォレットに戻されます。
担保にした仮想通貨の価値が下がったらどうなるのか?
- 担保価値が25%低下した場合は、担保または元本支払いを要求
- 担保価値が45%低下した場合、当社は担保を再担保する権利を有し、元本および未払い利息を回収する権利を有します。
もっと噛み砕いて言えば
担保にした仮想通貨の価値が25%下落した場合
Unchained Capitalから、債務者は「担保を増やしてほしい。」「元本を返済してほしい。」と要求されることになります。
担保にした仮想通貨の価値が45%下落した場合
Unchained Capitalは、担保にしていた仮想通貨を勝手に売却して、債権の回収に充てられてしまうことになります。
担保にした仮想通貨の価値が上がったらどうなるのか?
担保の仮想通貨の返金は、「担保」「元本」比率が250%を超えた時点で利用できる形となっています。
当初
- 担保:4000万円
- 借入元本:2000万円
↓ 仮想通貨の価値上昇
- 担保:5000円
- 借入元本:2000万円
という状態になった時点で、一部の担保を返金することができます。
Salt Lending

ソーシャルレンディングのように不特定多数の投資家から集めた資金を、仮想通貨担保ローンの融資資金とする特徴があります。
- 会員数:6.5万人超
- 貸付実績:4000万ドル超
- 融資可能額:$ 5,000~上限なし
- 金利:貸し手が設定
- 手数料:なし
大きな特徴は
金利も、「貸し手」が自由に設定することができます。
- 「貸し手」は法定通貨を貸し、担保として仮想通貨を受け取る
- 「借り手」は仮想通貨を担保として差し出し、法定通貨を借りる
仕組みを、P2Pの仕組みを利用しながら、運用しているサービスです。
このように海外では、すでに「仮想通貨担保ローン」は、一つの金融市場を形成しており、今後の市場拡大が有望視されています。
そのため、
- Coinloan(コインローン)
- Otheram(オーセラム)
- Ethlend(イースレンド)
- Everex(エバレックス)
・・・
などのベンチャー企業も、続々と「仮想通貨担保ローン」に参入しているのです。

仮想通貨担保ローンの活用法

その1.税金を払いたくないときに活用する
仮想通貨の最大のデメリットは「税金」です。
想通貨の売買で得た利益は「雑所得」「総合課税(累進課税)」で課税されます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
給与所得などと合算して
- 所得税で最高45%
- 住民税で10%
合計:最高55%
の税金が取られることになります。
税金が発生するタイミングは「仮想通貨の売買益が確定した時点」ですので
ことになってしまいます。
仮想通貨を購入した資金をずっと塩漬けにすれば、税金は発生しませんが・・・
せっかく仮想通貨の価値が上がっても、利益確定できないのでは、自分のお金として豪遊できるわけではありません。

というときに活用できるのが「仮想通貨担保ローン」です。
仮想通貨担保ローンであれば
- 仮想通貨自体は売却せずに利益確定しないで済む → 税金が発生しない
- 仮想通貨担保ローンで借り入れすれば → 現金が手に入る
ことになります。
手に入った現金を
- 豪遊に使うのか?
- 生活費に使うのか?
- 新たなアルトコインを購入ずるのか?
使い方は、人それぞれですが、

また、通常の無担保ローンの借金とは違って・・・
最悪、仮想通貨の価値が大幅に減少したとしても、借入額の手前でローン会社が担保である仮想通貨を勝手に売却してくれるので、借金が残ることはないのです。
仮想通貨を長期保有する運用の方には、「不動産担保ローン」を利用して、売らずに法定通貨を保有することは大きなメリットがあるのです。
その2.追加の投資資金をねん出する活用方法
仮想通貨の場合は、
仮想通貨FXを利用すれば、最大25倍までのレバレッジをかけた取引が可能になります。
しかし、実際は仮想通貨FXにはデメリットも多く
- 一定の証拠金維持率を割り込めば、強制ロスカットされる。
- 現物の仮想通貨を保有するわけではない。
- トレードてきる仮想通貨が限られてしまう。
のです。
とくに大きいのは
これだけ価格変動の大きい仮想通貨で、レバレッジを思い切りかけてしまうと、下手すれば追証が発生し、借金になる可能性すらあるのです。
できる範囲の追加投資資金の確保として「仮想通貨担保ローン」を利用すれば
例えば
- 100万円分のビットコインを保有
- ビットコインを担保に「仮想通貨担保ローン」で50万円を借り入れ
- 50万円を今後上場が見込めるアルトコインを購入
というような使い方ができるのです。

掛目が50%だとすれば、保有資金の1.5倍の資金で仮想通貨投資が可能です。
万が一、仮想通貨の価値が大幅に下落したとしても、担保である仮想通貨は借入額の手前で強制的に売却されるので、借金を抱えるリスクはありません。
レバレッジとしても、適正レベルと言っていいでしょう。
また、50万円は仮想通貨以外にも、利用することができるので
という方法も考えられます。
その3.自己資金のめいいっぱいまで仮想通貨を購入する
例えば
貯金が500万円しかないのに500万円分のビットコインを購入するのは、無謀な投資戦略です。
手持ちのお金が0円になってしまいます。
- 給料日までの生活費はどうするの?
- 給料日までの食費はどうするの?
- 万が一、急に病気になったらどうするの?
- 万が一、急なトラブルで出費が必要になったらどうするの?
・・・
と緊急事態に対応できなくなってしまいます。
しかし、
そのうちの20%の100万円を「仮想通貨担保ローン」で借り入れをする
となれば
まだ手持ちの資金が100万円ある状態
となります。
これであれば
- 給料日までの生活費
- トラブルや病気による急な出費
も、対応できます。
ただし、
である必要があります。
- 仮想通貨担保ローンの金利:年率12.0%~15.0%
ですので、これ以上にビットコインやイーサリアムなどの担保にできる仮想通貨の価値の上昇ペースがあれば、ローンを組んでも全く問題ないのです。
多少低かったとしても、保有している仮想通貨の金額と借入額に差があれば十分に対応できます。
- ビットコインの年間の価値の上昇率:10.0%
- 仮想通貨担保ローンの金利:12.0%
- 500万円のビットコイン → 50万円の利益
- 仮想通貨担保ローンの利息 → 12万円の支払い
となります。

という考え方もありますが、それは結果論です。
- ビットコインの年間の価値の上昇率:15.0%
- 仮想通貨担保ローンの金利:12.0%
- 500万円のビットコイン → 75万円の利益
- 仮想通貨担保ローンの利息 → 12万円の支払い
と
であれば、400万円ビットコインを保有するよりも、仮想通貨担保ローンを利用して、500万円ビットコインを保有した方がメリットがあるからです。
仮想通貨担保ローンを利用するデメリット・リスク

有担保ローンの中では金利は高金利設定
Unchained Capitalの場合
金利は12.0%~18.0%
となっています。
有担保ローンは、担保があるからこそ無担保ローン(カードローンやキャッシング)と比較して、低金利に設定されるケースが多いのですが、仮想通貨担保ローンは提供会社がまだ少ないことや、ローン会社のリスクも運用実績が少ないため「高金利設定」なのです。
仮想通貨担保ローンを有効に活用するためには
仮想通貨の担保価値が下落した場合は、勝手に売られてしまう!
Unchained Capitalの場合
- 担保価値が25%低下した場合は、担保または元本支払いを要求
- 担保価値が45%低下した場合、当社は担保を再担保する権利を有し、元本および未払い利息を回収する権利を有します。
となっています。
ということを意味しています。
日本での仮想通貨担保ローン

2018年6月に不動産担保ローン会社のアビックが仮想通貨担保ローンのリリースを出しました
不動産担保ローンを中心としたファイナンシャルサービスを提供する株式会社アビック(本社:東京都港区赤坂 代表取締役社長:成田喜東)は、大手金融機関やローン会社では対応できない地方都市の不動産や、自宅以外の収益物件、共有名義となっている不動産物件を担保にすることで、不動産担保ローンをご提供しています。また、不動産以外にも有価証券やゴルフ会員権など動産担保でのローンについても積極的に取り扱いを行っております。
このたび、当社は、6月 1 日より、仮想通貨ビットコイン(BTC)を担保にしたローンの提供を開始しました。
商品スペック
担保 | 仮想通貨ビットコイン(BTC) |
---|---|
ご契約対象 | 法人・個人 |
ご融資限度額 | 200万~10億円(要審査) |
お利息 | 年利 2.98 ~ 15.0% |
ご返済方式 | 一括・分割・元利均等・自由返済 |
借入期間 | 1ヶ月~5年(期間相談可能) |
返済回数 | 最大60回(回数相談可能) |
必要書類 | ・本人確認書類 (運転免許証・パスポートなど) ・収入を確認できる書類 (決算書、確定申告書源泉徴収票など) |
遅延損害金 | 年利 20.0% |
繰上げ返済手数料 | 0円 |
まだまだ、サービスとしては手探りの段階だとは思われますが、日本での仮想通貨担保ローンの第一歩と考えて良いでしょう。

今後、ニーズが増えれば、競合が増え、金利も低金利になるはずです。
日本企業の仮想通貨担保ローンに要注目です。
「仮想通貨でお金を借りられても、何に使うものなの?」
・・・