今回紹介するのは、仮想通貨における「短期取引・短期トレード」の投資方法です。仮想通貨は株式投資やFXトレードとは少し違った独特の性質を持ちます。
そのため、株やFXでは通用した手法も、仮想通貨投資には適用できない場合も少なくありません。
そこで、まずは仮想通貨の短期トレードについてしっかりと基礎を学び、しっかりと土台を固めていきましょう。
仮想通貨短期トレードの種類

仮想通貨の短期トレードを行うには、一般的に3つの手法を駆使します。
- スキャルピング
- デイトレード
- スイングトレード
上記3つの投資手法は仮想通貨に限ったものではなく、株式投資やFXトレードでも利用されます。
一方、仮想通貨には「24時間取引ができる」利点があるので、手法によって株式投資やFXトレードよりも大きなメリットを享受することもできるでしょう。
時間的リスクは、スキャルピングほど通貨を保有する期間が短く、また逆にスイングトレードほど短期間でも通貨保有時間は長くなります。
そのため、スイングトレードほどハイリスクハイリターンとなります。(あくまで短期トレードの中でのリスク計算です)
では、それぞれの特徴について簡単に紹介していきましょう。
スキャルピング
スキャルピングとは、簡単に言えば「超短期売買」のことです。基本的に1分足や5分足のチャートを参考に、最短数秒~最長5分ほどで取引を終えます。
株式投資やFXトレードの場合は、1度のスキャルピングで1~5銭程度の利益を狙っていきます。そして、1日に何度も取引を繰り返し小さな利益を積み上げていくのです。
一方、仮想通貨の場合は、ほんの数秒の間にも大きな価格変動があります。
特にビットコインは1BTC=約90万円(2018年7月25日時点)で、数秒間で数万円の値上がり(値下がり)も珍しくありません。
そのため、メジャーな仮想通貨の場合は、スキャルピングのメリットを存分に活かせるというわけです。ただし、スキャルピングを行うには1日に何度もポジション保有、そして決済を繰り返さなければなりません。
当然、常にパソコンやスマホの前に張りつく必要があり、「時間に余裕のない人には難しい」でしょう。
デイトレード
デイトレードとは、「1日の内に買ったポジションをその日の内に売ってしまう」取引方法です。またの名を「日計りトレード」とも言います。
買ったポジションを翌日に繰り越すことなく、その日の内に処理してしまうので、精神的な負担も次の日に持ち越すことは少ないです。
取引の頻度はスキャルピングより少なく、スイングトレードより若干多くなります。
短期間では何度も売買を繰り返すことができ、「内容によっては大変効率良く利益を出す」こともできるでしょう。
また、株式投資の場合は市場が開いている9時~15時の間、集中して相場を監視する必要がありますが、仮想通貨は24時間取引ができるので、デイトレードに向いていると言えるでしょう。
スイングトレード
スイングトレードとは、その日に買ったポジションを「すぐには決済せず、翌日に持ち越して」取引を終える手法です。翌日に持ち越した場合も慎重な判断を基に、決済の頃合いを見計らって決済します。
スキャルピングやデイトレードと比べて、短期間の中でも保有時間が長く、「時間的リスクは最も高く」なります。
しかし、相場の流れを掴んでから冷静な判断ができるため、1度に得られる利ざやは他の短期トレードより増加する可能性が高いです。
仮想通貨短期取引をするメリット

仮想通貨の投資を行う際は、「短期」の他、「中期」や「長期」でホールドする手法もあります。
どの投資方法が優れていて、他の手法が劣っているというわけではありません。それぞれ長短が分かれ、人によっても合う、合わないがあります。
では、仮想通貨の短期トレードを行うメリットとは何か?
- 価格変動が大きく短期間で高いリターンのチャンスがある
- 複利効果が狙える
- 長期保有用の有望銘柄を見つけられる
簡単に説明すると上記の通りですが、ここから詳しく解説していきます。
価格変動が大きく短期間で高いリターンのチャンスがある
仮想通貨の1つの特徴として、「価格変動の大きさ」が挙げられます。この価格変動の激しい性質は、仮想通貨投資のデメリットやリスクとして紹介されることが多いです。
しかし、物事には何でも表裏があるように、価格変動が激しいからこそのメリットも存在します。
想像はしやすいかと思いますが、短期間で10万円や20万円という価格変動のある金融商品は、秒速や分速で大きなリターンが狙えます。
たとえば、ビットコインの通貨BTCは、1分や2分という短い間に数万円の価格変動も珍しくありません。つまり、1BTC=100万円で購入した通貨が1分後に110万円になれば、たった1分間で10万円の利益が出るのです。
ただし、もちろん90万円に価値が下がった場合は1分で10万円損をしてしまいます。基本的に「ハイリスクハイリターン」が仮想通貨の性質です。
複利効果が狙える
複利効果とは、得た利益を元本に組み込んで再投資し、徐々に投資効率を高めていくことです。たとえば、平均利回り5%で100万円の投資をしたとしましょう。
100万円から得られる利息は5万円ですが、その利息を元本に組み込んで再投資すれば、同じ利回りでも利息は増えます。
今回の例だと次に投資できる金額は105万円に増えていますので、単純にこの後、105万円×5%=5万2500円の利息が期待できるというわけです。
複利は「短期間で何度も利益を出すほど効果が膨らみます」ので、短期売買による大きなメリットと言って良いでしょう。
長期保有用の有望銘柄を見つけられる
仮想通貨は1,000種類を超える銘柄が存在し、それぞれ特徴も通貨価値も異なります。

仮想通貨の豊富な銘柄に分散投資した方がリスクも分散されて、より「安全な運用が期待できる」からです。
色々な銘柄を物色していると、その内、短期トレードに向く通貨、長期保有に向くものと見極めがついてくることでしょう。
ご自身の投資ポートフォリオの中で、短期用、長期用と選り分けができると投資効率も高まりやすいと言えます。
仮想通貨短期取引をするデメリット

仮想通貨の短期トレードはメリットばかりではなく、デメリットの部分もしっかりと考慮すべきです。
以下に短期取引のデメリットを挙げてみましたので、まずはご確認ください。
- 度々チャートを確認する必要がある
- 精神的に負担がかかる可能性がある
- 税金が高くつく
上記は仮想通貨特有のデメリットもあれば、株式投資やFXトレードと共通する事項もあります。
それでは、各項目について以下より詳しい説明を行っていきます。
度々チャートを確認する必要がある
短期トレードは常にパソコンやスマホが手放せず、チャートの確認や情報収集に追われます。特に、保有期間が超短期のスキャルピングは、チャートから目が離せません。
つまり、短期トレードを行うにはそれなりの「時間を確保しておく必要」があるということです。
サラリーマンの方や、普段のお仕事が忙しい方など、ご自身の使える時間をよく考えた上で判断してください。
精神的に負担がかかる可能性がある
短期トレードの基本は、「一度に大きな勝ちを得る」ことではなく、「小さな勝ちを積み上げていって大きな利益にする」ことです。
そのため、何度も取引を繰り返す中には勝ちもあれば、当然負けることもあります。特に負けが続いた時などは精神的にもつらいものがあるでしょう。
短期トレードは「最終的な損得を差し引いたトータルで勝つことが重要」だと心に留めておきましょう。
税金が高くつく
仮想通貨の課税方法は、「仮想通貨と法定通貨を交換した時」と、「ある仮想通貨と他の仮想通貨を交換した時」に発生します。
つまり、日本円でビットコインを買ったり、ビットコインでアルトコインを買った時には時価で利益確定されることになり、来年初旬にまとめて税金を納める必要があるのです。
仮想通貨の税金は、雑所得に分類されます。
一律約20%の株式投資やFXトレードに比べて、仮想通貨は所得に応じて課税金額が異なり、最高45%(住民税を入れると55%)の税金が発生します。
短期トレードの銘柄・取引所選びのコツ

短期トレードであっても、長期保有の場合でも仮想通貨の銘柄選び、そして取引所選びは大変重要です。
ただし、短期に向く銘柄、中長期に向く銘柄に分類することもできます。ここでは仮想通貨の短期トレードでおすすめの銘柄・取引所について考えていきましょう。
どの仮想通貨に投資すべきか?
仮想通貨といえば、まず頭の中にイメージされるのがビットコインでしょう。
しかし、短期トレードに向いているかと聞かれれば、またそれは話が別です。
ビットコインは1BTC以下の小数点単位から購入ができますが、既に価格は100万円近くにまで上昇しました。0.1BTCや0.01BTCで安く買う方法はありますが、当然利幅は狭くなります。
ある程度の利益を得るには、それなりの元手資金が必要で、レバレッジを利かせて仮想通貨FXに手を出すのもおすすめしません。もともと値動きの激しい高リスク商品に、さらにリスクを上乗せしてしまうからです。
そこで、アルトコインに目を付けてみるというのも1つの方法です。
アルトコインは「ビットコイン以外の仮想通貨の総称」で、時価総額2位(2018年7月25日時点)のイーサリアムや、3位のリップル、日本で開発されたモナコインなどが有名です。
その中には、イーサリアムやリップルのように優れたビジネスモデルを持ちながら、未だに価値が認められていない銘柄もたくさんあるのです。
たとえば、Vergeという仮想通貨は10日間で価格が20倍ほど上昇しましたし、ENIGMAという銘柄も10日間で7倍の高成長を記録しました。

時価総額ランクでは低位置をつけ、100位圏外も珍しくない通貨が、一気に注目されることで価値を数倍に伸ばすことも多いです。
どこの取引所でコインを買うべきか?
マイナー通貨を購入するのは、国内取引所では難しいことが多いです。国内で買える仮想通貨は、せいぜい多くても「14種類」ほどしかありません。
しかも、日本の取引所のほとんどは、メジャーな仮想通貨ばかり扱っていて、銘柄で差が付くところは少ないと言えるでしょう。
そこで、マイナー通貨選びに活用したいのが海外取引所です。
特に200種類以上の銘柄を扱うビットレックス(Bittrex)や、100種類を超えるバイナンス(Binance)などがオススメです。
ビットレックスやバイナンスは、過去に何度も仮想通貨取引量で世界一を記録したこともあり、世界の投資家からも信頼が厚いのです。
また、上場する仮想通貨は投資家からの投票によって決まるので、マイナー通貨であってもどんどん種類は増えていきます。投票結果を見ることで、世界の投資家が注目している銘柄も知ることができます。
仮想通貨短期トレードで儲けるテクニック

ここでは、短期トレードで儲けるテクニックとして、以下の分析方法を紹介しています。
- ファンダメンタルズ分析
- テクニカル分析
それぞれどのような使い方をするのか、じっくりと解説していきましょう。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析とは、仮想通貨市場から世界経済まで、情勢の大きな流れを掴み投資判断に活かすことです。
このファンダメンタルズの中には、
- 各仮想通貨の最新情報
- 開発チームの発表
- 大手取引所の情報
- 企業の市場参入
- 政府の規制
など、仮想通貨にまつわるニュースや情報が中心となっています。ファンダメンタルズ分析の方法を、それぞれの情報源を基に解説していきます。
政府の規制
仮想通貨は、世界的にしっかりとした法律が定まっているわけでもなければ、まだまだ「認識や捉え方も曖昧」なままです。
日本では2017年4月より、仮想通貨を決済通貨と認める「改正資金決済法」が施行されましたが、各国の対応にはバラつきがあり、基本的に仮想通貨に厳しい国と、存在を認めようとする2つに分かれます。
2017年12月には中国が、2018年1月には韓国が仮想通貨の規制を強化し、市場には大きな影響がありました。
ファンダメンタルズだけの影響ではないにせよ、ビットコインを筆頭に、アルトコインも軒並み大暴落したことは記憶に新しい出来事です。
仮想通貨の情報ニュース
仮想通貨の情報系ニュースは、価格に大きな影響を与えることが多いです。たとえば、最近だとビットコインが、ETFに認可されるかどうかが、大きな話題に昇っています。
ETFは上場投資信託のことで、ビットコインなどの仮想通貨が認可されると、大手機関の参入により市場規模が拡大することが予想されています。
開発チームによる技術系ニュース
仮想通貨はブロックチェーンやマイニングなど、技術的側面の多い商品のため、通貨の開発チームによる技術系のニュースも価格に影響を与えます。
たとえば、2017年8月にビットコインからハードフォークによって生まれた「ビットコインキャッシュ」。
ハードフォークは簡単に言えば、大きなシステム変更を加えることで仮想通貨が2つに分裂することです。(必ずしも分裂するわけではありません)
技術系ニュースであるハードフォークによって、ビットコインのシステムの脆弱性に焦点が当てられ、一時はアルトコインに資金が逃避する動きも見られました。
取引所の情報
2018年1月に国内大手取引所コインチェックより、580億円相当のNEM通貨が盗まれる事件が発生しました。取引所の事故では、被害総額の規模と、取引所の規模に比例してその影響度が決まります。
ただ、暗いニュースばかりではなく、「Yahoo!が仮想通貨取引所に参入か!?」というようなニュースは好意的に捉えられます。
テクニカル分析
テクニカル分析とは、過去の価格動向から将来の価格変動を予測していく手法です。テクニカル分析には大きく分けて「トレンド系」と、「オシレーター系」の分析方法があります。
トレンド系は、ある程度の価格の方向性を予測するために活用します。
一方、オシレーター系は、最近のデータを参考に現在価格の需給を見極めるために使われるのです。
短期トレードをするにはファンダメンタルズ分析よりもテクニカル分析が相性が良いとされ、様々なチャートや過去の取引記録を参考にすることで徐々にコツを掴めるようになります。
では、テクニカル分析で用いられている細かい手法について説明していきましょう。
トレンドライン
トレンドラインには、主に「上昇トレンド」と「下降トレンド」の2種類があります。
2点以上の高値、もしくは底値を結ぶことでその期間のトレンドを把握していきます。

上の画像だと右肩あがりに上昇しているので「上昇トレンド」となります。

一方、チャートが右肩下がりの場合だと上のように「下降トレンド」になります。
上昇トレンドに対して買い(ロング)を順張り、反対に売り(ショート)を入れることを逆張りと呼びます。
移動平均線
移動平均線は、直近の終値の平均値をライン化したもので、その傾きによって今後の上昇・下降を予測する時に使います。

移動平均線には複数の種類があり、「指数平滑移動平均線」や「加重移動平均線」など、目的に応じて使い方が分かれます。
その中でも「単純移動平均線」がシンプルで、ローソク足が単純移動平均より上にくると上昇、下にくると下降というように予測する時に便利です。
相対力指数(RSI)
RSIは、一定の期間内の値動きを参考に、その間どれくらい値動きがあったのかを割合で表示する方法です。簡単にいえば、チャートの中で売買の過剰度合いを知ることができます。
大手取引所ビットフライヤーの場合、RSIの数値が「35%を下回る」と売られ過ぎ、「65%を超える」と買われ過ぎと設定されています。

上の画像だと、下の赤い線まで落ちている時は35%を下回っており、市場が売相場だったことが分かります。
一方、上の赤いラインでは65%を越えており、買相場だと判断することができます。
MACD(マックディー)
MACDは、2本の移動平均線を基に、トレンドの方向性を予測したり、売買のタイミングを見計らう時に使用されます。

青線をMACD、白線をシグナルとして、両者が交わる部分を売買するタイミングの判断材料にします。
MACDがシグナルを下から上に抜けることを「ゴールデンクロス」と呼び、買いのチャンスだとされます。画像では左側の丸部分です。
一方、画像の右側の丸、MACDがシグナルを上から下に抜けた時は売るタイミングと見ます。「デッドクロス」と一般的に呼ばれます。
ゴールデンクロスの場合も、デッドクロスの場合も線が交わる角度が深ければ信頼性が高く、逆に浅いと信頼性が低いサインです。
まとめ
今回は、仮想通貨の短期トレードについて紹介してきました。
仮想通貨は短期間でも大きく値動きする可能性が高く、デイトレードやスキャルピングなど短期売買には向いています。
一方で、ハイリスクハイリターンの性質もあるため、最初は投資金額を余剰資金の中で抑えることも大切です。ぜひとも慎重にご判断ください。
最初の内は分析方法やツールの使い方などに慣れないこともありますが、チャートや情報を見る機会が増えると徐々に体は覚えていきます。今回紹介した情報を活用して、ご自身の得意手法を見つけてみましょう。