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ビットコインのマイニングの仕組みとは?
ビットコインでは、マイニングという作業を行うことにより、ある確率でビットコインを入手することができます。
このビットコインを入手する作業は、鉱山から金(ゴールド)を採掘、発掘する行為によく似ているため、マイニングと呼ばれるのです。
ですが、何故マイニングを行うことでビットコインを手に入れることができるのでしょうか?
これは、ビットコインが暗号通貨、仮想通貨として安全性(セキュリティ)を高めるための仕組みが関係しているのです。
ビットコインの仕組みから、マイニングで何故コインを手に入れることができるのかをご説明します。
ビットコインは誰が管理してどこから発行されている?
一般的な常識で考えると、通貨も電子マネーも管理者や発行元というものが存在します。
日本で用いられている「円」なら日本国(日本銀行)そのものが発行元ですし、電子マネーの「Suica」はJR東日本グループが発行元です。
ですが、ビットコインにはこの管理者や発行元というものがありません。では、どうやってビットコインは通貨を発行しているのでしょうか?
それを理解するには、まずビットコインなどの仮想通貨について、基本的な仕組みを知る必要があります。
ビットコインの取引と、通貨発行プロセスの仕組み
ビットコインのシステムは、世界中のユーザーが使用しているコンピュータをネットワークで繋ぎ、取引台帳を共有することで成り立っています。
この仕組みは「ブロックチェーン」と呼ばれており、取引情報である「トランザクション」、一定期間内のトランザクションをまとめた「ブロック」を相互に共有することでビットコインのシステムが形成されているのです。
ビットコインのシステムは「ブロック」というものを生成し、それを連続的に繋げていくことで「ブロックチェーン」を形成することで成り立っています。
ビットコインではこのブロックの生成をとても難しくすることで改竄耐性を実現しています。
そして、ブロックを生成することでビットコインシステムの運用に貢献している参加者に対して、通貨の新規発行という形で報酬を付与しています。
この報酬として支払われるビットコインが通貨の発行を兼ねているというわけです。
この処理を行い、新規通貨を得る行為を「マイニング」、発掘者のことを「マイナー」といいます。
ブロックチェーンの安全性(セキュリティ)について
各ユーザーが取引台帳を保持する仕組みのため、手元のデータを改ざんすれば取引記録をだますことができるように思えるかもしれません。
ですが、ブロックチェーンは過去の全てのトランザクションが一本のチェーンになっている、かつ、不可逆的です。
攻撃者が不適格なブロックを生成するのは簡単ですが、暗号学的に他のユーザーは簡単にそれを間違ったブロックだと見破ることができるため、騙されることはありません。
仮想通貨ということで、データ改ざんの不安はあるかもしれませんが、ビットコインはブロックチェーンを活用することで、特定の事業者を介する取引より高い安全性を確保しているのです。
ビットコインを支えるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは?
ビットコインの取引と通貨発行プロセスの仕組みを解説してきましたが、この仕組みの承認プロセスをプルーフ・オブ・ワーク(PoW)と言います。
このプルーフ・オブ・ワークのシステムのもと、ビットコインの取引は安全に行われることができ、マイナーはこのシステムに貢献することでビットコインが報酬として貰えるのです。
ビットコインの発行ペースは?発行量に上限はあるのか
通貨が流通する枚数が多くなりすぎると、通貨の価値が下がるインフレーションという状態になります。
ビットコインでは、10分に1度12.5ビットコインを発行するという制限をかけることで瞬間的な通貨量の増大による問題を防止しているのです。
しかし、発行ペースを抑えても、将来的には天文学的な枚数がネットワーク上に流通してしまいます。
そのため、ビットコインでは、ネットワーク上の通貨量が2,100万枚に到達したら、ビットコインの新規発行はストップする仕組みになっています。
つまり、マイニングによって新規発行される通貨を入手できるのは、ネットワーク上のビットコイン枚数が2,100万枚に到達するまでということになるのです。
ビットコインの発行量の上限である2,100万枚は、2140年までに達するのではないかと予測されています。この予測は、ビットコインの半減期という仕組みをもとに計算されています。
半減期とは簡単に言うと、発行総量である2,100万枚に流通量が近づくにつれ、ビットコインの供給量(マイニング報酬)が抑えられるという仕組みです。
ビットコインが発行上限枚数に達したらどうなる?
ビットコインの発行上限枚数である2,100万枚に達した場合、ビットコインの新規発行はそれ以降されなくなります。これは、マイナーがマイニングをしてもビットコインの新規発行ができなくなることを指します。ということは、マイナーに報酬は支払われなくなるのではと思う方もいらっしゃると思いますが、そうではないのです。
マイナーは、一定期間内のトランザクションをまとめた「ブロック」を生成することで通貨の新規発行という形で報酬を付与されています。この新規発行分の報酬はたしかになくなってしまいますが、ビットコインを他のウォレットに送金する際にかかる送金手数料を得ることは可能です。
そのため、マイニング自体がなくなることはありませんが、ビットコインを保有しているユーザー視点だと、送金手数料をある程度高く設定しないとなかなか指定のウォレットに送金されないという自体が発生する可能性もあるでしょう。
個人でビットコインのマイニングを行って利益を得ることはできる?参入障壁は?
マイニングを行って新規通貨を手に入れるためには、ブロックを生成することでビットコインシステムの運用に貢献する必要があります。
この処理は高性能なコンピュータであればあるほど有利ですので、世界中でさまざまな企業がマイニング専用のシステムを導入している現状では、個人で持てるシステムではなかなか1番で処理を行うことは難しいでしょう。そのため、マイニングで儲けることはできないでしょう。
もちろん、個人でもマイニング用のコンピュータを複数用意し、力技で勝負することもできなくはありませんが、最近では「マイニングプール」「クラウドマイニング」という仕組みで、個人でも簡単にマイニングに参加できるようになりました。詳細は後で説明します。
マイニング環境を整えるにはどれぐらいの費用が必要?
マイニングを行うためには、まず採掘用コンピュータを用意する必要があります。
実のところ、スマートフォンや家電量販店などで販売されているパソコンでも発掘は可能なのですが、処理速度や電力消費量を考えると、とても採算はとれません。
マイニング用には、マイニング用に専用コンピュータを作った方が良いとされていますが、初期投資にはそれなりのお金がかかります。
しっかり計算するとちょっと細かい話になってしまうので簡単に計算してみると、計算能力が100mh/sのコンピュータを一台用意した場合の価格が約15万円でした。
これはパーツ価格の変動などによって変わってきますので、2017年9月30日時点での概算になります。
ビットコインなどの仮想通貨、暗号通貨では、マイニング参加者が増えれば増えるほど、採掘のための計算が難しくなっており、必要な処理能力がどんどん巨大化していっているのが現状です。
初期投資で利益が出ていても、いつかは処理能力が不足してしまいますので、継続して利益を出すためにはシステムの定期的な強化が欠かせないでしょう。
ビットコインのマイニングではどのぐらいの電気代が必要になる?
どのような仕組みのマイニング用コンピュータを使用するかによって電力の消費量や電気代は変わってきますが、基本的にはコンピュータの消費電力から月額の電気代は計算できます。
例として、コンピュータの消費電力が700Wだった場合で計算してみましょう。
この場合、毎日24時間稼働したとして、1カ月の消費電力は、
24h×0.7kWh×30日=504kWh
電力量料金が1kWhで30円だったとして、電気代を計算すると
504kWh×30円=15,120円
つまり、消費電力が700Wのコンピュータで24時間採掘すれば、毎月約15,000円電気代がかかるというわけです。
もちろん、基本となる電力量料金によって月あたりの料金は変わってきますので、場合によってはもっと安い価格で抑えることもできるでしょう。
個人での採掘はもう古い?マイニングプールという仕組み
ビットコインがまだ一般的では無かった時代では、個人所有の性能が低いコンピュータでも簡単にビットコインを手に入れることができました。
ですが、現状では世界中で盛んに採掘が行われているため、個人レベルで安定して利益を得るのは難しいと言われています。
そこで新たな発掘方法として生み出されたのが「マイニングプール」「クラウドマイニング」という仕組みです。
これは、個人マイナーのコンピュータをインターネット経由で統合してマイニングを行うことで、安定してビットコインを発掘しようというもの。
1回の処理を複数のマイナーで分散して行うため、1回あたりの利益は少ないのですが、協力した処理の量によって入手できたビットコインが分配されるため、比較的安定して利益を得ることができるのが魅力です。
GMOインターネット株式会社がマイニングに参入?
インターネットサービス大手のGMOがマイニングに参入するというニュースが流れました。
GMOでは、2018年上半期にマイニングセンターを設立、予定されている計算能力はなんと500ph/sと、先ほど紹介した100mh/sの約5億倍です。
さらに、計算に使用するコンピュータについても独自のものを開発しており、一般向けへの販売も予定、さらにクラウドマイニングの設立も予定されています。
ビットコインでは、複数の発掘者が協力して処理を行っているため、GMOがマイニングに参入することで発掘者の数が増加すれば、より安全な暗号通貨として利用できるようになるでしょう。