この記事では、仮想通貨の確定申告の方法を写真を交えてわかりやすく丁寧に解説していきます。
また、仮想通貨の確定申告で使う税金の内容や計算に関しても簡単にご紹介しますので、この記事を読んでいただければ税金の計算から確定申告の方法まで完全にマスターできます。
ぜひ最後まで読んでみてください。
仮想通貨の確定申告で抑えておきたい税金の4つのポイント

まずは仮想通貨の税金に関して大事な点を4つおさらいを兼ねて簡単にご紹介します。仮想通貨の確定申告における重要なポイントになりますので抑えておきましょう。
その1.仮想通貨の税金種別/雑所得
仮想通貨の税金は、「雑所得」に分類されます。よって計算方法も雑所得の税率の計算で用いられる計算方法が適用されます。
1年間で20万円以上の雑所得が発生した場合、「確定申告が必要」となります。また、雑所得には総合課税が適用されます。総合課税は、収入が増えれば増えるほどその税率も上がる仕組みになっています。
その2.仮想通貨の税率/15%〜55%
仮想通貨の税金の計算は、雑所得で用いられる計算方法を適用します。
また雑所得の収入は、「所得税と住民税」の2種類の税金を納める必要があります。利益に対して、「15%~55%」の税金が発生します。
所得税の税率
まずは所得税の税率を確認してみましょう。
1年間の総所得(給与所得+雑所得) | 所得税の課税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円超過の330万円以下 | 10% |
330万円超過の695万円以下 | 20% |
695万円超過の900万円以下 | 23% |
900万円超過の1,800万円以下 | 33% |
1800万円超過の4,000万円以上 | 40% |
4,000万円超過 | 45% |
税率を確認する際は、1年間の給与所得と雑所得(仮想通貨の売買益)を合計した金額で確認します。

よって、50万円の20%にあたる、「10万円」が支払うべき所得税だとわかります。
住民税の税率
次に住民税の税率です。住民税の税率は、「一律で10%」と決まっています。
上記と同じ条件で計算した場合、仮想通貨の売買益の50万円の10%に当たる、「5万円」が納めるべき住民税となります。
その3.仮想通貨の税金が発生するタイミング/仮想通貨を日本円に交換した時と仮想通貨をビットコインに交換した時
仮想通貨には税、金が発生するタイミングが2つあります。
1つ目は、「仮想通貨を日本円に交換した時」です。
日本円で仮想通貨を購入し値上がりした時点で日本円に交換すれば税金が発生します。
2つ目は、「仮想通貨をビットコインに交換した時」です。
日本円で仮想通貨を購入し、値上がりした後にビットコインに交換した場合、税金が発生します。
後ほど詳しく書きますが、取引した度に税金を支払うわけではなく、上記の2つのタイミングで出た、利益と損失を合わせて計算を行います。
その4.仮想通貨で得た利益の計算方法/仮想通貨を売って日本円(またはビットコイン)に交換した全額-元手-経費
最後に、仮想通貨で得た利益の計算方法をみていきましょう。
仮想通貨で得た利益の計算式は、
「仮想通貨を売って日本円(またはビットコイン)に交換した全額-元手-経費」
となります。例として以下の条件で計算を行ってみます。
- 投資に利用した「元手」の金額・・・40万円
- 仮想通貨の投資で利用した「経費」・・・10万円
- 4倍に値上がりした時点で全ての仮想通貨を日本円に交換
まずは、「仮想通貨を売って日本円に交換した全額」です。
「元手」40万円で購入した仮想通貨が4倍に値上がりしたので計算式は、
40万円×4=160万円
となるので、160万円が「仮想通貨を売って日本円に交換した全額」であることがわかります。これを上記の計算式に当てはめると、
160万円(仮想通貨を売って日本円に交換した全額)-40万円(元手)-10万円(経費)=110万円(仮想通貨で得た利益)
となるので、「110万円」がその年の仮想通貨の取引で得た利益だということがわかります。
このように計算した利益をもとに、税率を計算し納税するので覚えておきましょう。アルトコインが値上がりし、その後ビットコインに交換した場合も、その値上がりに応じて税金が発生します。
計算式は、上記の「仮想通貨を売って日本円に交換した全額」にアルトコインから交換したビットコインの日本円に換算した金額を当てはめれば、計算することができます。
仮想通貨の確定申告で税金の計算の際に抑えておきたい3つのポイント

その1.元手の計算方法
上記の例では、投資した仮想通貨を日本円やビットコインに全て交換した場合で説明していますが、一部だけを交換した場合は、その割合に応じて申請する元手の金額を変えます。
例えば、保有している仮想通貨の70%を日本円に交換した場合、上記の例での元手の計算は、
40万円×0.7=28万円
となるので、28万円を元手として申請すれば良いことがわかりますね。
その2.経費の計算方法
仮想通貨の投資にかかった「経費」に関しては以下のようなものがあります。
- スマートフォンやインターネットなどの通信費
- 電気代
- 取引所の手数料
- ハードウェアウォレットの購入費
- スマートフォンやパソコンなどの購入費
上記のようなものが経費として申請することができます。
これを「家事按分」と呼びます。通信費であれば、1日に通信を利用する時間の合計に対して、仮想通貨の取引で利用する時間の割合を算出します。
例として以下の条件で計算してみます。
- 1ヶ月の通信費:5,000円
- 1日に通信を利用する時間:5時間
- 1日に仮想通貨の取引に通信を利用する時間:2時間
例えば、1ヶ月の5,000円で1日に通信を利用する時間が5時間で、そのうち仮想通貨の取引に使う時間が2時間だとすると計算式は、
2時間(1日に仮想通貨の取引に使う時間)÷5時間(1日に通信を利用する時間)=0.4(家事按分の割合)
となるので、
5,000円(1ヶ月の通信費)×0.4(家事按分の割合)=2,000円
となり、仮想通貨の経費として、2,000円の通信費を計上することができます。
その3.損益通算
1年間の仮想通貨の取引利益を計算する際には、利益はもちろんですが、「損失」も合わせて計算することができます。
例えば、1年間で50万円の利益がでた取引と20万円の損失が出た取引があれば計算式は、
50万円-20万円=30万円
となるので、30万円を仮想通貨の取引利益として申請を行います。ここで気をつけたい点が2つあります。
損失は翌年に持ち越せない
例えば、今年50万円の仮想通貨の取引利益があるが、その前年に100万円の損失が出ている場合でも、合算して申請することはできません。
よって、取引利益の50万円分の税金の申請が必要となります。
仮想通貨の取引以外の損益と合算できない
例えば、今年に仮想通貨で50万円の取引利益があり、株やFXで80万円の損失があっても合算して計算することができません。
よって取引利益の50万円分の税金の申請が必要となります。

ほとんどみなさん個人だと思うのですが、一応注意しておきましょう。
以上、仮想通貨の確定申告で重要な税金の内容を、簡単におさらいしてみました。
仮想通貨の確定申告の方法

それでは、仮想通貨の確定申告の方法をみていきたいと思います。今回は会社勤めで給与所得があり、仮想通貨の取引で20万円以上の利益を得た場合を想定してご紹介します。
また税務署に行って書類を作成するのは、手間も時間もかかるのでパソコンで書類の作成を行います。ほとんどの方がこれに当てはまると思うので、ご参考いただければ幸いです。
仮想通貨の確定申告は、大きく分けて以下の流れで行います。
- 必要書類の準備
- 仮想通貨の取引利益の計算
- 書類の作成
- 税金の申請
それでは1つずつ、どのように行なっていくかをみていきましょう。
1.必要書類の準備
まず以下の書類を準備します。
- 源泉徴収票
- 各取引所の取引記録
- 銀行の入出金記録
- マイナンバーカードまたは個人番号通知カード
- 運転免許証
取引所の記録は、仮想通貨の「損益計算」で使います。銀行の入出金記録も、取引所の記録で確認が取れますが、念のため通帳などを記帳し準備しておきましょう。
取引記録はそれぞれの取引所で確認が取れます。また「CSV」というファイル形式でダウンロードすることもできます。
このファイルは、後々の計算をとても楽にしてくれのでダウンロードしておきましょう。国内の主要取引所であれば、ほぼ全ての取引所でダウンロード可能です。
運転免許証とマイナンバーカードまたは個人番号通知カードは、税務署に書類を郵送する際に必要となるので、準備しておきましょう。
2.仮想通貨の取引利益の計算
次に、仮想通貨の確定申告を行うための取引利益の計算を行います。
上記で説明した方法で、取引所の取引履歴ページから1つ1つ計算を行なっても良いのですが、取引所からダウンロードした「CSV」ファイルを使って、「簡単に計算できる」会計ソフトを3つご紹介します。
仮想通貨の確定申告で無料で使える会計ソフト
- 「Cryptact」
- 「freee」
- 「BITCOINTAX」
上記のようなソフトを使うと、取引所からダウンロードしたCSVファイルをインポートするだけで自動で計算を行なってくれます。
3.書類の作成
その年の取引利益が計算できたら、仮想通貨の確定申告で提出する書類を作成します。
まずは国税庁の「確定申告書作成コーナー」にアクセスします。アクセス後の流れをキャプチャを交えてご説明します。
給与所得の入力
1.下の画像の赤丸で囲った「申告書・決算書 収支内訳書等作成開始」をクリックします。

2.赤丸で囲った書面提出をクリックします。

3.赤丸で囲った「下記のチェック項目については、全て確認済みです」にチェックを入れます。

チェックを押したら次へを押します。
4.「所得税コーナーへ」をクリックします。

5.作成開始をクリックします。

6.「確定申告書等を印刷して税務署に提出する」にチェックを入れます。

「生年月日」を入力します。「申告書の様式をイメージした入力画面で申告書を作成する」にチェックを入れます。
終わったら「入力終了(次へ)」をクリックします。
7.「全ての申告に対応」のタブを選択します。

8.「全ての申告に対応」のタブ内にある「給与」をクリックします。

9.準備していた「源泉徴収票」を確認しながら赤枠内に必要事項を入力していきます。
分からない場合は、左側に番号ごとに源泉徴収票のどこを確認すれば良いかの手本が載っているので、そちらで入力方法を確認しましょう。

入力が終わったら「入力終了(次へ)」を押します。
10.2ページ目に移ります。同じ要領で源泉徴収票を見ながら入力を行いましょう。
源泉徴収票に「8」から「14」まで何も記載がない場合は「源泉徴収票の8から14欄の全てに記載がない。」にチェックを入れます。

11.3ページ目です。同じ要領で源泉徴収票を確認しながら入力を行います。

入力が終わったら「入力終了(次へ)」を押します。
12.4ページ目です。今までと同じように入力しましょう。
入力が終わったら「入力終了(次へ)」を押します。

13.確認画面が出るので入力ミスをしていないかしっかり確認しましょう。
確認が終わったら「次へ」を押します。

取引利益の入力
1.以下の画面に戻るので「収入金額等」の「その他」をクリックします。

2.「上記以外(報酬等)」をクリックします。

3.赤枠で囲ったところに必要事項を入力していきます。

1番左の種目には「仮想通貨」と入力しましょう。
左から2番目には取引で使った取引所の名前を「名称」に入れましょう(複数あればメインで使ったところプラス各種仮想通貨取引所といった文言を入れましょう)。
場所には何も書かなくてもOKです。
左から3番目の「収入金額」は1年間の仮想通貨取引で得た利益を入力します。
1番右の「必要経費」には1年間の仮想通貨取引でかかった経費を入力します。
入力が終わったら「入力終了(次へ)」を押します。
4.入力内容に誤りがないか確認します。

入力が終わったら「入力終了(次へ)」を押します。
5.納める税金が表示されますので確認しましょう。

金額を確認し、大丈夫であれば画面右下の「入力終了(次へ)」を押します。
6.税金の確認画面が出るので「OK」を押します。

住民税の入力
1.赤丸で囲んでる「住民税・事業税に関する事項」をクリックします。

2.住民税の支払い方法の選択になるので「給与から天引き」か「自分で納付」を選択します。
会社で副業などが禁止されている場合は「自分で納付」を選んだ方が良いでしょう。
入力が終わったら「入力終了(次へ)」を押します。

4.税金の支払い
上記手順が完了したあと、税金の支払い案内が出ます。
「口座での振替」か「クレジットカードでの支払い」などを選択し、税金を納めることになります。クレジットカードでの支払いは手数料が別途かかるので注意しましょう。
その後帳票を印刷しお近くの税務署に郵送します。帳票と合わせてマイナンバーカードの写し、または、マイナンバー通知カードと運転免許証の写しを郵送します。
これにて仮想通貨の確定申告は終了となります。お疲れ様でした。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
仮想通貨の確定申告と聞くと、

「仮想通貨の計算なんてできない!」
「書類の作り方とか分からないしなあ・・・」
なんて方も多かったと思います。しかし、仮想通貨の確定申告は会場に行く必要もありませんし、取引利益の計算はソフトで簡単にできます。
書類の作成に関しても国税庁のホームページであっという間にできてそれを郵送するだけでOKです。
思ってた以上に意外と簡単だったではないでしょうか?
以上、仮想通貨の確定申告の説明を行なってきました。ぜひ参考にしてみてください!
「例えば、1年間の給与所得が350万円で仮想通貨の売買益が50万円だった場合計算式は、
350万円(1年間の給与所得)+50万円(仮想通貨の売買益)=400万円
となるので、上の表と照らし合わせると「330万円超過の695万円以下」に当たるので、所得税の税率は20%になることがわかります。」