みなさん「ICO」という言葉をご存知でしょうか。
しかし、このICOは実にその9割が詐欺と呼ばれています。
この記事ではそんな仮想通貨にまつわる詐欺や、「ICO」に参加する際に詐欺に引っかからないようにするための注意点などをまとめてご紹介したいと思います。
知人から仮想通貨を勧められて購入しようか迷っているという方や、気になるICOがあり参加を考えている方など、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。
この記事を読んでわかること
- 仮想通貨の詐欺とはどのようなものか
- 詐欺ICOの見極め方
- 詐欺に引っかからないための注意点
目次
仮想通貨の詐欺とはどのようなものか?

まずは仮想通貨の詐欺には、どのようなものが存在するのか解説していきます。詐欺の全体像を把握することで、その被害を受けないようにしていきましょう。
ICOを使った詐欺
おそらく仮想通貨の詐欺で、もっとも大きな割合を占めているのがこの「ICO」を使った詐欺です。
なぜこれほどまでに、ICOによる詐欺が横行しているのか、その理由は2つあります。
1つ目の理由
政府による法律の規制が、しっかりとされていないという点です。
わかりやすく株の世界と比較してみましょう。
株の世界では仮想通貨と同じように、株式を発行し事業資金を集める「IPO」というものを行います。このIPOを行うためには、取引所の厳しい審査や、法律の規制を遵守した運営体勢を作ることが必要で、非常に厳格なものとなっています。
2つ目の理由
仮想通貨は、誰でも簡単に発行することができるという点です。
現在発行されている仮想通貨のほとんどは、イーサリアムのプラットフォームを使った、ERC-20トークンと呼ばれるものです。
この発行の手軽さも、仮想通貨のICO詐欺が横行している原因の1つとなっているのです。
有名企業の名前を使った悪質な案件も
国内の有名大手企業の1つでもあり、SNSサービスを展開する「LINE株式会社」の名前を使い、架空の「LINEコイン」なるものを発行し、詐欺を行おうとした事件も発生しています。
仮に、LINEが仮想通貨を発行するなんてなったら、やっぱり欲しくなってしまいますよね。
取引所の内部の人間も不正を犯している
2018年初旬くらいから、金融庁による各仮想通貨取引所の立ち入り検査が行われています。
金融庁はその検査の報告書で、取引所内部でも不正に価格を吊りあげる行為を行い、顧客から預かっている資金を奪い取るような形で、利益を出していたことを報告しています。
株などの世界では不正な価格の操作は、法律で禁止されています。まして、運営元の取引所で不正が行われることなどまずもってありません。
このように仮想通貨の詐欺の現状は、本来信頼できる取引所にも浸透しているのです。
集団セミナーでの詐欺
仮想通貨の詐欺では、セミナーを使った詐欺もよく行われます。これはセミナー参加者に、嘘のICO案件を持ちかけて仮想通貨の購入を促す方法です。
また、独自のルートで安い時期に仕入れた有名な仮想通貨を、「格安で譲ります」と言ってお金を騙し取ろうとする案件も存在します。
セミナーでは集団心理が働き、

といった、強迫観念に迫られる時があります。こういった心理をうまく使い詐欺が行われているのです。
以上、ここまで仮想通貨の詐欺の全体像をご説明してきました。
仮想通貨の詐欺に引っかからないための注意点

仮想通貨の詐欺の全体像がわかったところで、その詐欺に引っかからないようにするための注意点や、意識の持ち方を説明していきたいと思います。
ビットコインと比べてはいけない
仮想通貨の詐欺でもっとも引き合いに出されるのは、ビットコインです。
ビットコインと同じように、値上がりして大もうけができるといったキャッチフレーズはよく聞きます。
それではこの話は本当に実現可能かどうか検証してみましょう。
ビットコインの発行当初の値段と時価総額から詐欺を検証する
みなさんはビットコインの売り出し値をご存知でしょうか。
ビットコインは「New Library Standard」という機関で、初めて法定通貨との交換が行われました。
その時の値段は「1BTCあたり0.07円」です。これはビットコインをマイニングする時にかかる電気代をもとに算出され決められた金額です。
また、この時点でのビットコインの発行枚数は「2100万枚」なので、発行時点での時価総額は「147万円」です。
しかし今後発行される仮想通貨が、同じような成長を遂げることはまず間違いなくありえません。
ビットコインは、発行当初ほとんど無価値に近い状態で発行されています。対して、今後発行される仮想通貨のほとんどは、ICOの終了の段階である程度の時価総額を持つ形となります。
例えばとあるプロジェクトで、2億円の資金をICOで集めることができた場合、その仮想通貨の時価総額はすでに2億円となります。
仮にここからビットコインと同じ1,000万倍の成長を遂げた場合、時価総額はなんと2,000兆円となります。
アップルの時価総額と比較してみよう
現在、株の世界でもっとも時価総額が高いのは、iPhoneなどを作っているアップルの100兆円という時価総額です。先ほどの時価総額2,000兆円と比較すると、なんとアップルが20社必要となります。
もしあなたが、「ビットコインと比較して値上がりします」といった仮想通貨を、購入しようか迷っている時にはこのことを思い出してみてください。


「自分だけは違う」と思わない
仮想通貨に限らず、こういった詐欺に引っかかってしまう人のほとんどは、

「自分は特別だ。」
と思ってしまうものです。
そうなってくると、なかなか周りが見えなくなってきてしまい、周りの人たちのいうことも耳に入ってこなくなります。
私自身も周りの友人などから止められながら、「自分だけは違うだろう」と思い、何十件というICOに参加してきましたが、なかには詐欺の案件もありました。
そのICOは、ICO終了後いっさい進展がなくなり、購入した仮想通貨にも何の価値もなくなってしまったのです。
絶対に値上がりするものは存在しない
仮想通貨の詐欺では、「絶対に値上がりする」といったうたい文句で、仮想通貨の販売を行っていることがよくあります。
ここで覚えておいて欲しいのが「絶対に値上がりするものは存在しない」ということです。
仮想通貨に限らず投資の世界でも、「必ず儲かる」なんて常套句をよく聞きますが、これも同じくそんなものは存在しません。

以上、仮想通貨の詐欺に引っかからないようにするための注意点をまとめました。
良質なICO案件の特徴と見極め方

仮想通貨の詐欺の注意点がわかったところで、良質な案件の特徴と見極め方を解説していきます。
良質なICOがどのようなものかを理解することができれば、詐欺に会う可能性もより小さくすることができます。
今回はその見極め方を2つご紹介したいと思います。
1.アドバイザーを確認する
ほとんどの仮想通貨のプロジェクトは、ベンチャー企業が行なっており、チームの事を詳しく調べてもホームページで公表されている以外の情報があまりでてきません。
普通に考えて、ベンチャー起業にみんなが知っているような人ってあまりいないですよね。だいたいは野心に燃える若者なんて感じです。
でも投資をするなら、自分が信頼できる人物に投資をしたいですよね。そこでICOのアドバイザーを確認します。
事実、2017年に発行された「Omise GO」という仮想通貨は、イーサリアムの開発者であり、仮想通貨界の権威的存在でもある、ヴィタリックブテリンがアドバイザーに就任したことにより、売り出し値から最高で100倍の成長率を記録しました。
こういった著名な人たちがアドバイザーに就任するということは、そのプロジェクトの将来性や健全さを担保していることにもつながります。
優秀な人たちが、中身のない案件に参加することはそうそうないからです。

これが有望なICOを見極める1つ目の方法です。
2.実現可能なプロジェクトであるかを考えてみる
仮想通貨でICOを行う場合、企業はそのプロジェクトのヴィジョンや事業計画をまとめたホワイトペーパーというものを発行します。
ICOに参加する際は、このホワイトペーパーをまず読んでみましょう。そしてそのプロジェクトが本当に実現可能なものなのか、どうかを考えてみてください。
ICOのホームページを見ると、だいたいどのICOも良いことしか書いていません。ですが事業計画書をじっくり読んでみると、

なんてものが山ほどあります。

ICOの評価サイトを使う
上述したホワイトペーパーを読むのがめんどう、英語だしわかんないという方には、ICOの評価を行っているサイトがありますので、こういったサイトを活用してもらえればと思います。
こちらのサイトでは、ICOに精通した専門家が5段階評価でヴィジョンや製品、プロジェクトの将来性をランク付けしています。
また、評価だけでなく、なぜその評価をしたのかという理由も専門家がコメントしているのでより自分が興味のあるICOを深く知ることができます。
有望なICO、詐欺ICOの見極めにぜひ活用してみてください。
以上、有望な仮想通貨のICO案件の見極め方について解説いたしました。
ICOへの参加は基本的にはやめておいたほうが良い

私は今まで国内国外問わず、数多くのICOに参加してきました。なのでICOに対しての知識や思い入れは他の人たちの何倍もあると思っています。
その私の経験から導き出された結論として、ICOへの参加は「やめたほうが良い」ということができます。
というか、ICOの参加はやめましょう。これにはいくつかの理由があります。
割引やボーナスには何の意味もない
ICOでは、参加時期が早ければ早いほど特典が多くもらえたり、大きな割引が受けられる方式が採用されています。
ICOに参加し始めた当初は、このボーナス目当てでやっきになって早期参加をしていました。すぐに売り切れてしまうからと、翌日仕事があるにもかかわらず夜中の3時まで起きて参加したこともあります。
しかしこれ、実際は取引所に上場するとほぼ何の意味もなくなります。
つまり上場したあとも、その価格が保障されているわけでもないので、ほとんどの仮想通貨がすごい速さで下落していきます。
また、以前はICOで購入した仮想通貨を上場直後に売り抜ける手法が流行っていましたが、ここ最近では上場直後の値下がりを狙って購入し、売り抜けるパターンが頻発しています。
そもそも上場する保障も全くないのが仮想通貨のICOの世界です。
リスクを避けるためにもICOに参加するのではなく、上場した後に購入することを強くおすすめします。
どれだけ有望なプロジェクトも値上がりするとは限らない
2017年に国内大手取引所の「Zaif」がICOプラットフォームのサービスを提供する「COMSA」というプロジェクトを立ち上げ、その事業の資金を集めるためのICOを行いました。
このCOMSAのプロジェクトは、日本初のICOプラットフォームであったことや、国内の優秀なIT企業が軒並みプロジェクトに顔を揃えていたことなどから、当初国内だけでなく世界中から大きな注目を集めていました。
ICO自体も大きな成功を収め、なんと100億円以上の資金を集めました。
これだけ有望なプロジェクトでもICOの値段を割ってしまうことを考えると、詐欺の見極めはもちろんですが、ICOへの参加を私がおすすめしない理由がわかったかと思います。
以上、ICOへの参加をおすすめしない理由について解説いたしました。
仮想通貨の購入は慎重に行おう!
ここまで仮想通貨の詐欺について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
政府が徐々に介入してきたことで、少しづつこういった詐欺に関しても減ってくるかとは思いますが、仮想通貨の世界では未だにこういった詐欺が横行しています。
詐欺にどのようなものがあるかその全体像を把握し、さらにその詐欺に引っかからないように注意するべき点をこの記事で理解していただければとても嬉しいです。
ICOには詐欺と言われていても実際は違くて、爆発的に値上がりした「ADAコイン」のような例もあるのでその見極めはなかなか難しいものとなっています。
