この記事では、仮想通貨の世界各国の規制状況と日本における規制状況を、詳しく解説していきたいと思います。

といった方も、この記事を読んでいただければ仮想通貨に関する規制の基本から、現在の規制の状況、今後の動きまで全部理解できちゃいます!
前半部分では海外の規制状況を解説し、後半部分では国内の仮想通貨の規制状況を解説いたします。
全部読むのがめんどうという方向けに項目ごとに簡単なまとめも作ってあるのでそちらも参考にしてみてください。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
この記事を読んでわかる3つのこと
- 2018年の世界各国の仮想通貨の規制状況
- 2018年の日本の仮想通貨の規制状況
- 金融庁の規制の基本情報
- 規制により今後の仮想通貨がどう変わるか
目次
世界各国の仮想通貨規制状況

まずは世界各国の仮想通貨の規制状況を見ていきましょう。
アメリカ
アメリカでは、仮想通貨による決済が他国と比べ普及していますが、仮想通貨の規制に関しては、非常に厳しく取り締まっているのもアメリカです。
仮想通貨において今年もっとも話題になったものとして、イーサリアムやリップルのような仮想通貨が証券にあたるのではないか、という嫌疑がかけられた事例があります。
仮にイーサリアムやリップルが証券であれば、証券に必要な審査などの発行の正式な手順を踏んでいないということになり、非常に大きな問題となります。
アメリカにおける仮想通貨の規制では、SEC(証券取引委員会)が深く関わってきます。
SECは基本的に新しい金融資産に対して慎重な姿勢を示しており、仮想通貨の市場自体にもSECの要人がたびたび否定的な発言をしていることから、現在でも保守的な立場をとっていることが考えられます。
SEC委員長であるジェイ・クレイトンは、このICOで発行されたトークンに対して証券の可能性があることを言及し、アメリカで証券を取り扱う場合、証券法に基づいて正式に認可されたICOでしか、国内のSEC認可の取引所で扱えないことなど問題視していました。
一方で、正式な手順に則ったICOトークンであれば応援したいという意向を示すなど、法規制のもと仮想通貨が普及することを望んでいる姿勢であると考えられます。
SEC(証券取引委員会)とは?
SECは、1934年に設立された投資家の保護と公正な取引の運営を目指した連邦政府の得立した機関です。
ICO(Initial Coin Offering)とは?
ICOとは、企業が事業を行うためにその事業運営に必要な資金を集めるため、自社のオリジナルトークンを発行し販売することを指します。
株の新規発行(IPO)のような難しい制限はなく、誰でも簡単に行うことができます。
そのため事業の資金集めの画期的な新しい方法であると注目される一方で、誰でも簡単に行うことができるという性質上、近年ではICOの9割が詐欺と言われており、法律による規制、対応が必要とされてきました。
GoogleとFacebookによる仮想通貨の広告禁止の動き
最近になり、それぞれの企業の提示する基準に則ったものであれば広告を解禁することを発表しましたが、ICO関連の広告などは依然として禁止されています。
このように、国だけでなく企業単位でも規制に取り組んでいるのが現状と言えるでしょう。
SECによるビットコインのETF承認は先送り
アメリカではウィンクルボス兄弟のビットコインETF(上場投資信託)をCboe(シカゴオプション取引所)がSECに上場申請を出していましたが、8月中に予定されていた承認がSECの決定で9月に先送りされました。
SECは、昔から新興の金融商品に対しては常に保守的で慎重な姿勢を保ってきたため、一部報道では2019年まで承認が先延ばしされるのではないかと言われています。
ETF承認先送りに関してSEC内部から批判の声も
SECのコミッショナーを務めるHester Peirce氏が、SECの承認先送りの決定に関して意義を唱えています。
Hester Peirce氏はSECがビットコインの危険性やボラティリティの面でETFの承認を先送りしたことを受けて、SECの本来の業務はビットコインの投資信託の性質そのものを問うことではなく、その投資信託を取り扱う取引所を監査するべきだと主張しています。
Hester Peirce氏のTwitterアカウントでは、自己紹介に「私の意見はSEC公式の見解ではなく、個人的な意見である」と書いていますが、SEC内部の人間からETFに対して肯定的とも取れる発言がされたことで、今後の承認により期待が高まっています。
ウィンクルボス兄弟について
上記のビットコインETFを作ったウィンクルボス兄弟は資産家の一族です。
有名な話として、ウィンクルボス兄弟は米ハーバード大卒ですが、同じハーバード大学に在学していたSNSサービスFacebook創業者のマーク・ザッカーバーグに対して、Facebookのアイディアを作ったのは自分たちだとして訴訟を起こしていました。
Facebookの立ち上げを題材にした映画「ソーシャルネットワーク」でも登場しているのでご存知の方も多いかと思います。
ウィンクルボス兄弟は、当初から仮想通貨の可能性に目をつけており、初期段階からビットコインに投資していました。
また、それによって仮想通貨で多額の富を築いています。
中国
中国政府は自国発祥のブロックチェーンプロジェクトであるVeChain(物流ブロックチェーソリューションを提供するプロジェクト)や、コンセンシスと言うブロックチェーンコンサルティング会社と提携をするなど、中国では仮想通貨の技術開発には非常に積極的に取り組んでいます。
こういったことからも最近のICOでは、アメリカ同様に中国国民のICO参加も禁止していることが多くなっています。
よって中国では、

というスタンスであることが考えられます。
仮想通貨取引所「Huobi」の移転
ビットコインの取引高でも上位10位以内に入っている中国に拠点を置いていた、大手仮想通貨取引所の「Huobi」は、こうした中国国内の取り締まりの強化を懸念してその本拠地を香港へと移しています。
韓国
韓国では、若年層を中心に仮想通貨に対する投機熱が非常に高くなっています。
国内大手SNSサービスであるLINEが、先日韓国のブロックチェーンプロジェクトであるICONと提携したことでも話題となりました。
ただ2018年に入り、韓国の国会ではICOを合法化しようという流れが起きており、実際に国会での法案の提出も行われています。
今までは、韓国のプロジェクトは国外に出なければ ICOを行うことができませんでしたが、この法案が実現すれば合法的にICOを行うことができることから、国外への技術流出も防げると考えられます。
インド
ここからは、インドにおける仮想通貨の規制状況を解説していきたいと思います。インドはITの分野など、最先端のテクノロジーを扱う技術者の育成などに非常に力を入れている国です。
インド政府のスタンスとしては、犯罪などに使われる可能性がある恐れを排除したいとともに、仮想通貨のトレードに対して規制を設けることで、お金の流れをはっきりさせていきたいと言う思いがあるようです。
仮想通貨の規制に対してポジティブな国

ベネズエラ
南米のベネズエラでは、自国仮想通貨の「Petro(ペトロ)」の発行が予定されています。
このように、仮想通貨の技術を利用して自国の問題に対応しようとするポジティブな国も存在しています。
マルタ共和国
マルタ共和国はヨーロッパの南の方に位置する国です。
マルタは仮想通貨の技術に関して非常に寛容で、超大手取引所である香港の「Binance(バイナンス)」など、仮想通貨関連の事業を展開している企業が、マルタに拠点を移しています。
マルタに拠点移す理由は単にマルタが仮想通貨の事業に対して寛容であるだけでなく、その法人税の安さも理由としてあげられます。
よく投資や資産家などの話で「タックスヘイブン」なんて言葉を聞いたことがあるかと思いますが、マルタはそうした税金の逃道として昔からよく使われていました。
G20(ジートウェンティー)経済会議で議論された仮想通貨の規制について

G20とは主要20ヵ国と欧州連合及び欧州中央銀行のことを指します。
G20の参加国一覧
- アルゼンチン
- オーストラリア
- ブラジル
- 中国
- インド
- インドネシア
- 韓国
- メキシコ
- ロシア
- サウジアラビア
- 南アフリカ
- トルコ
- カナダ
- フランス
- ドイツ
- イタリア
- 日本
- 英国
- 米国
- 欧州連合(EU)
G20では経済会議が行われており、2018年7月に行われた会議では仮想通貨の規制に関しても議論されています。
上述してきたように、実生活の決済で仮想通貨を法的に認める国もあれば、ICOも仮想通貨取引も禁止する国もあるなど、それぞれの国によって現在その対応はバラバラとなっています。
こういったことからも仮想通貨の規制に関して国際的な枠組みを作ることが、今回のG20での会議では取り上げられました。
FATFによる仮想通貨の規制作成
FATFとは、マネーロンダリングなど国際的な資金の不正利用の防止を行うために設立された政府機関で、現在は仮想通貨の規制に関しても、国際的な基準を作ろうとしています。
実際にこの基準が採用されるようになれば、今後の国際的な仮想通貨の枠組みができることになり、不透明な取引が行われない世界市場の実現ができると言えます。
以上、各国の仮想通貨に対する規制状況を見てきました。以下に簡単にまとめを作っておきますので参考にしてください。
世界各国の規制状況まとめ
- どの国も基本的には詐欺や不正取引を防ぎたい
- できれば仮想通貨の技術は使っていきたい
- 自国通貨として仮想通貨を採用している国も
- 租税回避地が今後の開発拠点になる可能性がある
日本における仮想通貨規制の基本

次に日本国内における仮想通貨の規制状況を見ていきたいと思います。まずは国内の仮想通貨に関する規制の基本事項を解説いたします。
理解することで2018年の規制の現状の把握に役立ちますのでこの機会に覚えておきましょう。
国内仮想通貨の規制に関して抑えておきたい基本事項
国内による仮想通貨の2018年の取り締まり状況の確認の前に、規制に関しての基本的な事項を解説していきます。

仮想通貨の取引所運営には金融庁の認可が必要
今年に入ってから、仮想通貨取引所の運営には正式に金融庁の認可が必要となりました。
金融庁認可を得ることができれば、取引所の運営を行うことができ、またより信頼性のある運営を行うことができるということができます。
以下に、金融庁認可の仮想通貨取引所のリストを載せておきますので参考にしてみてください。
金融庁認可の仮想通貨取引所 | 取り扱い通貨(単位表記) |
---|---|
株式会社マネーパートナーズ | BTC(ビットコイン) |
QUOINE株式会社 | BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、 BCH(ビットコインキャッシュ)、QASH(キャッ シュ)、XRP(リップル) |
株式会社bitFlyer | BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、 ETC(イーサリアムクラシック)、LTC(ライトコ イン)、BCH(ビットコインキャッシュ)、 MONA(モナコイン)、LSK(リスク) |
ビットバンク株式会社 | BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、 XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、MONA(モ ナコイン)、BCC(ビットコインキャッシュ) |
SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社 | BTC(ビットコイン)、XRP(リップル)、BCH(ビッ トコインキャッシュ) |
GMOコイン株式会社 | BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、 BCH(ビットコインキャッシュ)、LTC(ライトコ イン)、XRP(リップル) |
ビットトレード株式会社 | BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、 XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、MONA(モ ナコイン)、BCC(ビットコインキャッシュ) |
BTCボックス株式会社 | BTC(ビットコイン)、BCH(ビットコインキャッ シュ)、ETH(イーサリアム)、LTC(ライトコイ) |
株式会社ビットポイントジャパン | BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、 XRP(リップル)、LTC(ライトコイン)、BCC(ビッ トコインキャッシュ) |
株式会社DMM Bitcoin | BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム) |
株式会社ビットアルゴ取引所東京 | BTC(ビットコイン) |
Bitgate株式会社 | BTC(ビットコイン) |
株式会社BITOCEAN | BTC(ビットコイン) |
株式会社フィスコ仮想通貨取引所 | BTC(ビットコイン)、MONA(モナコイン)、 FSCC(フィスココイン)、NCXC(ネクスコイン)、 CICC(カイカコイン)、BCH(ビットコインキャッ シュ) |
テックビューロ株式会社 | BTC(ビットコイン)、MONA(モナコイン)、 BCH(ビットコインキャッシュ)、XCP(カウン ターパーティー)、ZAIF(ザイフ)、BCY(ビット クリスタル)、SJCX(ストレージコインエック ス)、PEPECASH(ぺぺキャッシュ)、FSCC(フィス ココイン)、CICC(カイカコイン)、NCXC(ネクス コイン)、Zen(ゼン)、XEM(ゼム(ネム))、 ETH(イーサリアム)、CMS(コムサ) |
株式会社Xtheta | BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、 BCH(ビットコインキャッシュ)、XRP(リップ ル)、LTC(ライトコイン)、ETC(イーサリアムク ラシック)、XEM(ネム)、MONA(モナコイン)、 XCP(カウンターパーティー) |
ホワイトリスト
ホワイトリストに入っている通貨は、個人情報を隠して送金取引が行える匿名系の仮想通貨は入っていません。
テロなどの犯罪や不正な資金洗浄などに使われる恐れがあるために、金融庁では認可していないのです。
以前は、金融庁の認可は取引所の運営に必須ではなかったため、たとえば上述した流出事件のあったコインチェックでは、MoneroやZcashなどの匿名系通貨をはじめ、数多くのホワイトリスト以外の仮想通貨を取り扱っていました。
しかし、金融庁の認可を得るためには、このホワイトリストに記載されている通貨しか取り扱うことができません。
海外の取引所を利用したことがある方は、その取り扱いしている仮想通貨の数の多さに最初は驚いたかと思いますが、国内の取引所での取り扱い通貨の数が少ないことにはこうした理由が存在しています。
ホワイトリストに登録してある仮想通貨は、どのようなものがあるか確認してみましょう。
ホワイトリストの仮想通貨 | 単位表記 |
---|---|
Bitcoin(ビットコイン) | BTC |
Ethereum(イーサリアム) | ETH |
Bitcoincash(ビットコインキャッシュ) | BCH |
Fiscocoin(フィスココイン) | FSCC |
Ripple(リップル) | XRP |
Ethereumclassic(イーサリアムクラシック) | ETC |
Litecoin(ライトコイン) | LTC |
Zaif(ザイフ) | ZAIF |
Lisk(リスク) | LSK |
Counterparty(カウンターパーティー) | XCP |
Monacoin(モナコイン) | MONA |
Bitcrystals(ビットクリスタル) | BCY |
StorjcoinX(ストレージコインエックス) | SJCX |
Pepecash(ぺぺキャッシュ) | PEEPCASH |
Qash(キャッシュ) | QASH |
Caicacoin(カイカコイン) | CICC |
NCXC(ネクスコイン) | NCXC |
Comsa(コムサ) | CMS |
Nem(ネム) | XEM |
Zen(ゼン) | Zen |
以上の20種類が、金融庁が定める仮想通貨のホワイトリストに掲載されているコインとなります。
日本の取引所ではこれらの仮想通貨しか取り扱うことができませんので、頭の片隅にでも入れておいてください。
2018年の日本国内の仮想通貨規制状況

それでは2018年の仮想通貨に対する規制状況を解説していきたいと思います。
コインチェック事件から特に規制が厳しくなった

というところですが、これは2018年3月に起こった仮想通貨取引所「コインチェック」の仮想通貨「NEM(ネム)」の流出事件が原因となっています。
ちなみに、コインチェックはその後金融商品を長く取り扱ってきた国内の大手企業であるマネックスグループに買収されています。
イーサリアムの開発者ヴィタリックブテリンもこの事件に言及
アプリケーションプラットフォームで、現在仮想通貨の時価総額第2位である暗号通貨イーサリアムの開発者のヴィタリックブテリンもコインチェックでの流出に言及しています。
ヴィタリックは、この事件の原因が中央集権化した取引所にあると考えており、DEX(分散型取引所)のように非中央集権的な取引所を使うことで、顧客資産を取引所で保管するのではなく、顧客自身の資産として保管することで改善することできると発言しています。
改正資金決済法の施行
2018年4月に資金決済法が施行されました。これにより仮想通貨による物品の購入に関して法律で正式に枠組みが作られた形となりました。
この法律の改正の1番の目的はマネーロンダリングの防止と顧客保護です。マネーロンダリングは海外での事件を受け制定した意図ガリ、顧客保護に関しては上述のコインチェックの事件があったことにより、取引所に課す規制や開設の基準をより厳しくしたものとなっています。
金融庁による監査報告書が発表
2018年には、金融庁による各国内の仮想通貨取引所の監査が行われ、報告書が出されました。
その中でも非常に驚きを与えたニュースとして、なんと取引所の内部の人間が不正に価格を吊りあげる「パンプアンドダンプ(仕手)」を行い、それにより利益を出していた可能性があると報告書に記載されていました。
また、本来信頼できる取引所が顧客の資産をその意思に反して、勝手に使い他の用途で利用していたという事例も合わせて報告されています。
このように本来信頼できるはずの取引所で反道徳的な行いがされていたことは、驚くべき事実であったということができます。
ほぼすべての取引所が行政処分を受けた
それくらい、セキュリティ、内部の人間による不正など、国内の仮想通貨取引所の運営状態が酷かったということができます。
こうした行政処分は取引所の運営体制の健全化を促し、ユーザー保護にもつながることから利用する私たちにとっては良いニュースということができるでしょう。
ビットフライヤーとビットバンクのCEO辞任
今年規制に関連して大きく話題となったのが、国内大手取引所であるビットフライヤーとビットバンクの両CEOの辞任です。
金融庁の監査により国内のほとんどの取引所が行政処分受けたことで、その責任を取るような形で当時の「仮想通貨交換業協会(JVCEA)」が辞任を発表しました。
SBIホールディングスの北尾社長が助言
この両CEOの辞任に関しては、SBIホールディングスの北尾社長が助言して行われたと言われています。
このことからも読み取れるように、SBIはもともとの運営母体である企業の実績と資金力もあることから、国内の仮想通貨業界においても、今後の権威的な存在になると考えることができるでしょう。
「LINE」や「楽天」は規制により国外で事業展開を開始
国内の仮想通貨関連の規制が厳しくなったことで、関連事業を国外で展開する企業も出てきました。
2018年7月にLINE株式会社は、国外に仮想通貨取引所である「BITBOX」を開設しました。また、楽天は自社子会社のViber(通話アプリを提供する会社)を使い、楽天コインをロシアで発行することを発表しています。
海外では日本人ユーザーの取引を禁止する取引所も
2018年から日本国内での仮想通貨の規制が厳しくなったことで、海外取引所の中では日本人ユーザーによる取引を禁止する取引所も出てきました。
現に、2018年6月には海外取引所のHitBTCが、日本国内の仮想通貨取引の規制を受け、日本人のユーザーの取引を禁止することを発表しました。
本日から2週間以内に、HitBtcに預けている通貨を他所の取引所に移す必要がありそうです。

仮想通貨交換業協会(JVCEA)による自主規制
2017年末から2018年の年始にかけて投機市場として異様なまでの盛り上がりを見せた仮想通貨市場ですが、そのユーザーのほとんどは、資金力や知識のない若年層であることからも利用に関して制限を設けることでユーザーの保護を図ろうとする動きもあります。
これは金融庁による規制ではなく、「仮想通貨交換業協会(JVCEA)」という仮想通貨取引所を運営する団体の集まりが独自に制定したものとなります。
どのような規制を導入しているのか見ていきましょう。
レバレッジの上限規制
仮想通貨では通常の現物取引だけでなく、為替などで行われるFXと呼ばれる信用取引も使うことができます。
この証拠金に対して借り入れを行う際の倍率をレバレッジと呼び、仮想通貨交換業協会(JVCEA)がこのレバレッジを、従来の最大25倍から4倍までに引き下げることを検討しているという報道発表がされています。
しかし、仮想通貨交換業協会(JVCEA)の理事であるSBIホールディングスの北尾社長はグローバルな観点から見ても、10倍や25倍というのは適正な値であると公言しており、実際の導入に関してはまだ不透明となっています。
内部役員や職員によるインサイダー取引規制
金融庁による監査報告書が発表され、その中で取引所の内部職員が不正に価格を釣り上げて売り抜けを行っていたという事例が報告されています。
このことからも仮想通貨交換業協会(JVCEA)では、内部役員によるインサイダー取引を禁止する自主規制をは発表しています。
具体的に法的な拘束力がないにせよ、このような規制を制定することでインサイダー取引の抑止につながることが期待されています。
以上、2018年における仮想通貨の規制状況について解説いたしました。
2017年は良いニュースが多かった仮想通貨業界ですが、2018年は今のところ規制により厳しい立ち位置であることがよくわかりましたね。
以下に簡単にまとめを作っておきますのでぜひ参考にしてみてください。
国内における仮想通貨の規制まとめ
- コインチェックの事件で規制が厳しくなった
- ほとんどの取引所が処分を受けた
- 取引所によっては価格操作など非倫理的な行為が行われていた
- 仮想通貨交換業協会による自主規制もスタート
規制から考える今後の仮想通貨

このように、海外での仮想通貨による規制と国内での仮想通貨の規制が行われています。
ここからは、こういった規制によって今後の仮想通貨業界がどのようなものになっていくかを見ていきたいと思います。
ブロックチェーン技術者の確保が必要
上記で規制に関してのさまざまな情報を見てきましたが、そもそもこのような規制が必要な事態に陥らないためにもセキュリティの向上は必須となります。
セキュリティの向上のためには、ブロックチェーンに精通したエンジニアの確保が各取引所で必要となりますが、仮想通貨の技術はまだスタートしたばかりであり歴史が短いため、優秀なエンジニアが少ない状況です。
上述したコインチェック事件では、流出した仮想通貨のNEMは本来外部ネットワークから遮断されたコールドウォレットにて保管すべきだったところを、ホットウォレットに保管していたことで起こりました。
コインチェックは、コールドウォレットでの保管をすべきであった事実は認識していたものの、対応できるエンジニアがいなかったことで、ホットウォレットにて管理していたということを報告しており、このことからも深刻なエンジニア不足がわかります。
法規制が整備されたことで洗練された市場が構築される
仮想通貨の市場は、今年に入ってから特に規制が厳しくなってきました。2018年の規制による取り締まりは、今後さらに厳しく行われていくことが考えられます。
また、仮想通貨交換事業者協会(JCBA)により金融庁だけに頼らない自主規制の動きもより増えていくことでしょう。
これらの動きによって今後の仮想通貨の市場の健全化が実現できます。
今までは中身のないプロジェクトが発行する仮想通貨にも値がついたり、ICOによる詐欺が横行するなど市場としては未成熟でした。

これによって仮想通貨は「よく分からない怖いもの」から「国単位で管理する安心安全な資産」として認知され、保守的な投資家や、一般市民まで多くの人が認める市場となるでしょう。
規制により失われるものをどう取り返すか
ここまで各国のさまざまな規制を見てきましたが、規制は利用する私たちの安全を守る一方で、自由な仮想通貨取引、技術発展を阻害してしまう可能性もあります。
たとえば上述したホワイトリストから除外されている匿名系通貨は、技術的に素晴らしいものを持っています。
実際にコインチェックで以前取り扱っていたZcashという匿名通貨は、その送金技術や匿名技術を海外の大手投資ファンドであるJPモルガンガ採用されるなど、優れた実績を持っています。
このように規制や行政処分などで、このような技術の進歩を阻んでしまう可能性があることも覚えておきましょう。
不正な価格操作を防ぐためには時価総額の成長も必要
取引所で不正な価格操作が行われていたことからも分かるように、こういった価格操作は時価総額の低い仮想通貨の市場では簡単に行うことができてしまいます。
実際に株のように、市場全体の時価総額が高い金融商品は価格の操作そのものが相当な資金力がないとできないものとなっています。
DEX(分散型取引所)と法規制
DEXとは分散型取引所の略称で、従来の取引所のような中央集権的な運営ではなく、取引所の昨日を個々人に分散させて秘密鍵をユーザー自身が管理し取引を行うことを可能とした仕組みです。
取引所を通さないことから非中央集権的であるだけでなく、ハッキングによる仮想通貨の紛失リスクも軽減することができます。

規制から考える仮想通貨の今後の展望まとめ
- 仮想通貨関連のエンジニアの確保、育成が必要
- 仮想通貨がより一般の人にまで普及する
- 規制の柔軟性が技術発展のためには必要である
仮想通貨の規制は「吉」と出るか「凶」と出るか
ここまで仮想通貨の規制に関してまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか?
仮想通貨のもともとの始まりはビットコインであり、ビットコインには非中央集権的という考え方が存在します。
一方で、これほどまでに詐欺やボラティリティの高い市場に対して規制を入れることで、市場の健全化を実現することができるのは良いことということができます。
メリットとデメリットがあるので一概にこうであるとは言えませんが、ちょうど良い落とし所を見つけることが今後の課題ということができるでしょう。
またビットコインは、スケーラビリティを解決することができるライトニングネットワークがメインネットで正式に実装されました。
これによって課題であった、手数料の大幅な削減と送金時間の短縮が実現でき、今後ますます実生活での決済が普及することになります。
そうなった場合、法規制は今まで以上に私たちの身近なものとなっていくでしょう。
なのでみなさんも今後の仮想通貨の規制状況にぜひ注目してみてくださいね!
「海外でも仮想通貨を取り締まる法律とかはあるのかなあ?」